第二次安倍政権の経済政策の良い点悪い点

この記事の要約

安倍政権の良かった点は成長政策と財政政策と金融政策をバランス良く掲げた点

安倍政権の悪かった点は

・成長政策が産業政策路線で行われてしまったこと

・財政政策と言えば公共事業、公共事業と言えば建築という時代遅れな価値観

増税

 

 

第二次安倍政権の経済政策への考察をする前にまずは経済政策の基本と分類についておさらいします。

 

まず、経済政策とは、成長政策と安定化政策と再分配政策の3つに大別されます。

これらの政策を語る前に潜在GDPと現実のGDPとを区別する必要があります。

現実のGDPとはそのままのGDPという意味なのですが、GDPの意味を知らない人のために簡単に説明するとGDPとは国内で一年間に生産された付加価値の総額です。

 

例えばあなたがうどん製麺所を経営しているとしましょう、他の誰かが作った小麦粉などの原材料を仕入れて、製麺機や各種調理器具などの道具や設備を用いて生産し、それを販売することで付加価値を生んでいます。こうした生産設備のことを経済学用語で「資本」と呼びます。それと「労働力」を投入することでうどんを生産しているのです。

 

それと「技術」も大切です。例えばプロの職人が作ったうどんは1玉1000円で売れるかもしれませんが、素人のあなたが作ったうどんは10円でも売れないかもしれません。

「労働力」と「資本」と「技術」の三要素が揃うことで付加価値を生み出す、つまりはGDPを成長させるというわけです。

 

潜在GDPとは、資本や労働力や技術を無理なくフル活用して得られるだろうGDPのことをいいます。

潜在GDPより現実のGDPのほうが高いことを好景気、逆に低いことを不景気といいます。

 

そして成長政策とは潜在GDPを成長させること、つまりは労働力や資本や技術を強化する政策のことをいいます。安定化政策とは、現実のGDPが潜在GDPから極端にずれないように安定させようとする政策のことで財政政策と金融政策の2つが代表的です。

 

第二次安倍政権の良かった点は成長政策と財政政策と金融政策と再分配政策をバランス良く打ち出したことです。特に金融政策は画期的でした。

 

小泉政権~第一次安倍政権の頃は成長政策が重視され、民主党政権時代には再分配政策が重視されましたが、小泉政権は格差拡大に足元を掬われ、民主党政権は再分配をしようにも無い袖は振れなかったために支持を失いました。

 

3つの政策をバランス良く掲げた政権は日本では初めてなのではないかと言うほどの快挙です。

しかし安倍政権の経済政策がお世辞にも上手くいったとは言えない結果に終わった原因は成長政策と財政政策と増税に問題があったからだと思います。

 

そもそも成長政策とは、自由化路線と産業政策路線があるのですが、産業政策路線はほぼほぼ上手く行かないということです。80年代にこれからはリゾート開発だとゴルフ場やホテルを建設しまくりましたが今ではガラガラです。安倍政権の場合はクールジャパン機構を作ったりオリンピックを計画しましたが尽く失敗しました。仮にオリンピックが延期にならなかったとしても費用対効果は間違いなく大赤字だったでしょう。

 

それとオリンピックは財政政策の側面もあるのですがその側面で見ても大失敗なのですがそれは少し後で解説します。

 

ですので成長政策は自由化路線一択であるべきなのです。具体的には規制緩和を行い民間が自由にビジネスをすることができる環境を作ってあげることこそが政府がするべきことなのです。政治家や官僚は政治のプロなのであってビジネスのプロではありません。ビジネスは民間のビジネスのプロに自由に任せたほうがたいてい上手くいくものです。

 

財政政策の問題点は、そもそも財政政策の目的は何なのかという問いに立ち返るとよくわかります。

財政政策の一番の目的は失業者を減らすことです。そう考えるとオリンピックや公共事業(建設業)がいかに的はずれなのかよくわかります。

 

そもそも現代の日本の建設業は人手不足な産業です。成り手が減っている上に東日本大震災による復興需要が増しているため、オリンピックなどでさらに需要を増やす必要性はまったくないのです。むしろ震災の復興の邪魔になるわ、失業者を減らすために使えたはずのお金が無駄になるわで無駄でしかないのです。

 

これは産業政策路線の失敗の話ともつながるのですが、政府はビジネスが下手なので具体的なビジネスにはあまり口を挟まないほうが良いとするのが現代の主流派経済学者の考えです。

 

そして金融政策だけは効果を上げていたのですがそれを台無しにしたのが増税ですね、せっかく市場にばらまいたお金をわざわざまた回収してしまうなんて馬鹿げています。

 

というわけで政策の方向性自体は良かったのですが、その具体策が駄目駄目で上手く行かなかったのが安倍政権の経済政策だと思います。